コペンハーゲンlife

コペンハーゲン暮らしでした(帰国済)

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デンマークではなかなか病院にかかれない?医療費無料のカラクリ

福祉に手厚いと言われる北欧。

渡航する前は「デンマークは医療費無料、よかった〜」と思っている時期もありました。

しかし!いざ渡航すると「なかなか医者にかかれない、3日間は家で様子を見るしかない」という声をたくさん聞きました。

この記事では、私が身の回りで体験したリアルな医療事情と「医療費無料」とはどういうことか、記録します。

デンマークの医療制度おさらい

デンマークは家庭医制度をとっているため、医師の診察が必要な場合まずは家庭医(GP)へ相談することになります。

家庭医は必要に応じて専門医への紹介状を書いてくれるので、症状によっては別の医者へ回されますが、診察にかかる費用はすべて無料です。

日本では、症状に応じて患者が診療科を判断、直接出向く形なので制度自体が大きく異なります。

詳しくは、在デンマーク日本大使館デンマークの医療制度」へ。

家庭医へ行けない...自宅療養を指示されたエピソード

そして、兎にも角にも、このGPへのハードルが高いです。いわゆる風邪症状であれば診察をしてもらえません。ここで、我が家が診察してもらえなかったエピソードをご紹介します。

乳児の高熱「突発性発疹」事件

1歳を過ぎに発熱をしました。あっという間に39度〜40度まで上がってしまい、日本であれば即病院に連れて行くレベル。しかしここはデンマークなので、まずは家庭医にTEL。出るのは看護師です。「熱の高さはあまり気にしてないよ、水分取れてればOK。薬局で解熱剤買って飲ませてね」と。

翌日も熱が下がらないので再度TEL、電話を切られそうになりつつも食い下がると「全身状態を確認するためにビデオ通話に切り替えましょう」となりました。ベッドで転がる様子を見てもらい「うん、大丈夫、アイスクリーム食べさせて冷やしてね!」と言われて終わりました。

翌日、発熱も落ち着き体にプツプツが出てきたので、ようやく突発性発疹だったことがわかりました。これも別に医師に見せるわけでなく、親の診断です。

「コロナ疑い」事件

毎日数万人のコロナ感染者が出ていた頃に発熱したため「とうとう来たか...」と思い家庭医に電話をしました。2歳未満はPCR検査に家庭医の紹介状が必要だったためです。電話でPCR検査を受けたい旨を伝えたところ「まだ小さいから、外出するより家でゆっくり寝て休んでね」と言われ終わりました。罹患したのかどうか、今でも謎です。

「急性胃腸炎」事件

子供あるあるの急性胃腸炎です。。深夜に立て続けに嘔吐をしたので翌朝家庭医へ連絡をしました。しかしもちろん「少し様子を見て、休ませてあげて」と。日本であれば吐き気どめや整腸剤がもらえるのですが、基本は寝て休むという方針のようです。。

病院に行けたエピソード

じゃあ逆に何なら病院に行けるの?と思いますよね。免疫力や自己治癒力ではどうにもならない、本当に医療の介入が必要な際には対応をしてもらえますし、無料です。大ごとであれば、無料で医療通訳もつけてもらえると聞きました。

食物アレルギー

食物アレルギーがあるため小児アレルギー科を紹介をしてもらいました。血液検査や今後の治療方針の相談に乗ってもらい、診察や検査の費用はすべて無料でした。適切な専門医へたどり着くまでかなり時間がかかりましたが、それはまた別の機会に。

万が一誤食をしてしまった際に備えて薬の処方箋を発行してもらい、薬にはお金を払いました。

検診・予防接種

子供の定期検診や大人のがん検診等、国やコペンハーゲン市で決められたプログラムに沿っているものは無料です。GPの空き状況によってはすぐに見てもらえますが、緊急性が低いものは1ヶ月以上先の予約になることもザラです。

医療費無料のカラク

デンマークは「医療費は無料」なのですが、対象となる「医療」は日本とは異なり、なかなか医療資源にアクセスすることができません。

  • デンマークでは、免疫力や自己治癒力では治らない&本当に医療介入が必要な症状しか見てもらえない

一般的な発熱や嘔吐、インフルくらいであれば自宅療養です。

ポジティブに見れば税金(限られた財源)を効率的に使っていますし、ネガティブに見れば医療介入の遅れが致命傷を引き起こす可能性があると思います。

第一、患者を診もせずに電話口で症状を聞いただけで(ほぼ)対面診察をオファーしないというのは誤診につながらないのかなあ...と素人ながらに思います。

これから移住される方へ

デンマーク渡航する前の自分に伝えておきたいことは二つです。

日本から薬を持ってくると安心

こちらの薬局でも薬は買えますが、日本から薬を持ってくると安心です。子供たちの薬は、かかりつけ医で事情を説明し一通り処方してもらいましょう。市販薬もあったほうが安心です。マツキヨetc.で買いだめましょう。

家庭医にどうしても見て欲しい場合は症状を盛りに盛る!

絶対に&どうしても医者に見てもらいたい、、という場合は症状を盛りに盛って伝えるのがいいでしょう。何も食べられない、何も飲めない、痛くて泣き止まない...etc それか、命に関わる危険性がある場合は救急車です。そうでもしないと病院にかかれないのはおかしいですがそれが実情のようです。